アフリカゾウは絶滅の危機に瀕している?
合法取引は密猟を助長する?
日本への密輸入が横行している?
日本に象牙市場があるから密猟が増える?
アフリカゾウはIUCNレッドリストに絶滅危惧種として掲載されています。
絶滅危惧種には3ランクあり、そのうち3番目のVUに指定されています。
これは種全体の話であり、地域別にみると、南部アフリカのゾウはランク(LC)で、絶滅の懸念がないとされています。南部アフリカでは、この100年間、一貫してアフリカゾウの数が増えていることがIUCNのデータから窺がえます。
合法取引は違法取引を増やすので、合法取引を再開すべきではなという主張をよく聞きます。2016年のワシントン条約会議前にも、2回目の取引許可により、密猟が増えたという記事が多くの新聞により配信されました。
そうした論調は、根拠のないものとして、MIKE/ETISの技術アドバイスグループにより否定されています。
種の保存法のもとでの象牙登録が増えているのは日本への密輸入があるからだという指摘がありました。
近年、日本や第三国での日本向けの密輸象牙の押収がないという事実は、そうした指摘に根拠がないことを表しています。
最近種の保存法違反で象牙に関する摘発事例が起きていますが、これはワシントン条約(外為法)違反ではなく、同条約よりも厳しい措置である国内取引を規制する種の保存法違反です。
日本国内での象牙市場の存在がアフリカゾウの密輸を増やしているという事はあません。
東京象牙美術工芸協同組合会館より引用
アフリカゾウ保全に関する象牙組合の立場
私たちが貴重な象牙を材料とした生業を続けたいと考えるのは、伝統工芸技術を継承したいとの理由だけにと留まりません。サステイナブルユースという考え方を強く支持するからです。
アフリカゾウが絶滅すれば、私たち業界も絶滅します。
これまで、MIKEなどワシントン条約のプロジェクトにも資金協力を行ってきました。
日本政府による数々の厳格な規則の導入にあたっても、積極的に協力してきたところです。
しかしながら、合法的な国内市場を閉鎖するというような極端な措置には断固として反対します。
アフリカゾウの保全に役立つとは到底思えないからです。
私たちが求めるのは、違法な取引の根絶であって、合法的な取引の禁止ではありません。
今後とも、象牙の伝統工芸技術を継承していくとともに、アフリカゾウの保全に貢献していきたいと思います。
東京象牙美術工芸協同組合会館より引用
象牙取引に関する疑問にお答えします
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ゾウは絶滅の危機に瀕していると聞きますが、実際にはどうなのでしょうか?
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ゾウは、絶滅が心配される種ですが、絶滅のおそれの度合いは、ゾウの種や地域によって異なります。南部アフリカに生息するアフリカゾウについては、絶滅のおそれは小さいとされています。
・ゾウには、アフリカゾウ(Loxodonta africana)とアジアゾウ(Elephas maximus)の2種がいます(※1)。国際自然保護連合(IUCN)のレッドリスト(2015 年版)では、アジアゾウは EN(絶滅危惧 IB 類)、アフリカゾウは VU(絶滅危惧II類)と、いずれも種全体としては個体数が減少傾向にあり、絶滅のおそれがあると評価されています(※2)。
・ただし、分布域の広いアフリカゾウについては、生息する地域個体群ごとにも評価が行われており、個体数が減少していない地域もあります。
・例えば、アフリカ中央部の個体群(※3)は EN(絶滅危惧 IB 類)とされる一方で、南部アフリカの個体群(※4)は個体数が多く、かつその減少傾向が認められないため、絶滅のおそれがない LC(軽度懸念種)とされています(※5)。
※1:アフリカゾウについては、さらにアフリカ中央部の森林地帯にすむシンリンゾウ(マルミミゾウ)とそれ以外のサバンナゾウの2種に分けられるという説があります。
※2:IUCN のレッドリストにおける絶滅危惧種は、絶滅のおそれの大きい順に、CR(CriticallyEndangered:絶滅危惧 IA 類)、EN(Endangered:絶滅危惧 IB 類)、VU(Vulnerable:絶滅危惧 II 類)のランクが設けられています。
※3:カメルーン、中央アフリカ、チャド、コンゴ(共)、コンゴ(民)、赤道ギニアに生息する個体群。
※4:アンゴラ、ボツワナ、マラウィ、モザンビーク、南アフリカ共和国、ザンビア、ジンバブエに生息する個体群。
※5:「現時点では絶滅のおそれの小さいもの」として、VU に続く順位に、NT(Near Threatened:準絶滅危惧種)、LC(Least Concerned:軽度懸念種)が設けられています。
環境省より引用
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象牙の輸入や輸出は禁止されているのですか?
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象牙の輸出入(国際商取引)は、ワシントン条約によって、アジアゾウについては同条約が発効した 1975 年以降、アフリカゾウについては 1990 年以降、原則として禁止されています。ただし、過去に2回だけ同条約により、個体数が多く、かつその減少傾向が認められない南部アフリカの個体群に限って象牙の取引が認められたことがあり、この取引で得られた収益は、アフリカゾウの保全並びにゾウの生息域又はその近隣の地域社会の保護及び発展等のために使われています。また、条約発効前(1975 年以前)に取得された象牙は、輸出国の承認を受けることで輸出入が可能となります。
・ワシントン条約では、国際間の商業目的の過度の取引による種の絶滅を防ぐために取引の制限が必要と考えられる野生動植物の種について、規制対象となる動植物を附属書にリストアップし、さらに絶滅のおそれの程度に応じて附属書の内容を三区分(附属書I~III)に分類し、それぞれの必要性に応じて、国際取引の規制を行うこととしています(※1)。
・附属書Iには、絶滅のおそれがあり、国際取引により影響を受けている又は受けることがあるとして、国際的な商取引が原則禁止されている種が掲載されています。(※2)
・附属書IIには、現在必ずしも絶滅のおそれはないものの、取引を厳重に規制しなければ絶滅のおそれのある種になりうる種が掲載されており、これらの種は、一定の条件を満たし輸出国の許可を受ければ商業取引が可能です。(※2)
・附属書IIIには、原産国である締約国が規制の必要を認め、取引の取締りのため、他の締約国の協力を求める特定の種が掲載されています。(※2)
・アジアゾウは、ワシントン条約が発効した 1975 年から附属書 I に掲載されており、現在に至るまで、その象牙の国際的な商取引は原則禁止されています。
・アフリカゾウは、ワシントン条約発効から数年経過した 1977 年に附属書IIに掲載され、締約国の輸出許可証が発給された場合のみその象牙(全形牙、加工品、端材などすべて)の国際的な商取引が可能でした。しかし、1980 年代に主に東部アフリカで象牙を狙った密猟が激化したことから、1989 年にアフリカゾウが附属書Iに掲載されることとなり、翌 1990 年からその象牙の国際的な商取引(輸出入)は原則禁止されました。
・その後、1997 年に、南部アフリカ3か国(ボツワナ、ナミビア、ジンバブエ)のアフリカゾウ個体群は、絶滅のおそれが少ないとして附属書IIに戻されました。同様に 2000 年には南アフリカ共和国の個体群も附属書IIに戻されました。その際、それら個体群の象牙の国際的な商取引が他の国のゾウに及ぼす影響が懸念されたことから、附属書の注釈により、取引を実施する際の条件が輸出国と輸入国の双方に付されました。
・こうした条件が満たされたとして、ワシントン条約の締約国会議で定められた手続に従い、1999年と 2009 年の2回、上記の南部アフリカ諸国から、1回目は日本、2回目は日本と中国に象牙が輸出されました(このうち、南アフリカ共和国からは2回目のみ)。1990 年以降、この 2 回以外に象牙の国際的な商取引が認められたことはありません。
この 2 回の象牙の国際的な商取引は、南部アフリカ諸国の強い意向を受けて行われたもので、これにより得られた収益はアフリカゾウの保全並びにゾウの生息域又はその近隣の地域社会の保護及び発展等のために使われています。・また、ワシントン条約の適用を受ける前(※3)に取得された象牙及び象牙製品は、取得時期を証明し、輸出国から条約適用前取得である旨の証明書を受領することにより、輸出入が可能となります。(なお、ワシントン条約の規定に従い、日本から再輸出されたアフリカゾウの象牙は、1990 年から 2014 年までで 17 本のみです)。
※1:ワシントン条約については以下のリンク先をご確認下さい。
環境省 HP http://www.env.go.jp/nature/kisho/global/washington.html
経産省 HP http://www.meti.go.jp/policy/external_economy/trade_control/02_exandim/06_washington/cites_about.html※2:附属書の各区分の正確な掲載対象は、リンク先の条約本文(仮訳第2条)をご確認下さい。
経産省 HP http://www.meti.go.jp/policy/external_economy/trade_control/boekikanri/download/cites/2010/20100831_215_ci.pdf※3:アジアゾウについては条約が発効した 1975 年 7 月 1 日より前、アフリカゾウについては条約の附属書にアフリカゾウの個体群が初めて掲載された 1976 年 2 月 26 日より前(ガーナの個体群が附属書 III に掲載されたとき)。
環境省より引用
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過去に 2 回特別に輸出入が認められた象牙はどのように得られたものですか?密猟された象牙ではないのでしょうか。
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過去に 2 回特別に認められた国際的な商取引(問2への回答参照)で輸入対象となったアフリカゾウの象牙は、自然死した個体や人を殺傷した有害獣として駆除された個体から得られたものであり、象牙を得るために象を殺して得られたものではありません。
・アフリカゾウの年間死亡率は、地域や状況によって違いはありますが、数パーセントと言われています。これは、仮に千頭のアフリカゾウが生息していれば、毎年数十頭が死亡するということです。また、アフリカゾウの分布域の約7割は、国立公園などの保護地域の外側にあり、地域の人々が生活する場所の比較的近くにゾウが生息している場合もあります。このような地域では、ゾウが畑を荒らしたり、人を殺傷したりする被害も生じており、加害個体については当局が駆除を行っている場合があります。その他、国立公園などにおいて、増えすぎたゾウが植生を大きく変えることで他の動植物が減少したり絶滅したりすることを防ぐために管理間引きが行われたこともありました。
・過去に 2 回の特別に認められた国際的な商取引で取引の対象とされた象牙は、これらの自然死した個体や有害駆除された個体から得られたものであり、象牙を得るために象を殺して得られたものではありません。
環境省より引用
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国内で象牙・象牙製品を取引することは合法なのでしょうか?
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あらかじめ登録を受けた全形を保持した象牙の取引(売る、買う、あげる、もらう、貸す、借りる)、また、届出を行った事業者による象牙製品の販売は違法ではありません。登録又は届出を行わずにこれらを行うことは「種の保存法」違反による罰則の対象となります。
・国内で象牙及び象牙製品を取引する(売る、買う、あげる、もらう、貸す、借りる)ことや、販売を目的として広告を出したり店などで陳列したりすることは、「種の保存法」(※1)で定められたルールに従って行うことが義務付けられています。
・全形を保持している象牙については、ワシントン条約で国際的な商取引が禁止となる前(1990年より前)に取得されたことを証明してあらかじめ象牙ごとに登録を受けておけば国内での取引や広告・陳列が可能になります。
・その場合、象牙の取引は登録票とともに行うこと、陳列には登録票を備え付けること、広告には登録を受けていることと登録記号番号を表示することが必要です(ただし、販売目的の陳列・広告の場合)。登録票なしに取引を行ったり、登録票を備え付けずに広告を行ったり、登録記号番号等の情報を表示せずに広告をしたりした場合は、「種の保存法」違反となり、厳しい罰則(懲役・罰金。詳細は※2)の対象になります。
・象牙製品(全形を保持しないもの)やカットピース(象牙を裁断したもの)については、あらかじめ届出を行った事業者のみが、それらを業として取扱う(取引)ことができます。届出事業者は、象牙製品等の取引の記録を記載し、保存する必要があります。これに反した場合も、「種の保存法」違反となり、罰則の対象になります。
・詳しいルールはこちらをご確認ください。
http://www.env.go.jp/nature/kisho/zougetorihiki.html※1:「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」
http://www.env.go.jp/nature/kisho/hozen/hozonho.html※2:全形を保持している象牙の譲渡・陳列・広告等の罰則
http://www.gov-online.go.jp/useful/article/201312/2.html#anc03環境省より引用
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インターネット上で象牙・象牙製品を取引することは合法なのでしょうか?
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国内でのインターネット上の取引であっても、象牙・象牙製品の取引(売る、買う、あげる、もらう、貸す、借りる)が生じる場合には、店頭等での取引と違いはなく、同じルール(問4への回答で説明)が適用されます。ただし、インターネット上で海外と取引する場合は、輸出入に当たりますので、象牙については、輸出入国の許可を得ない限り、違法な取引となります。
・国内でのインターネット上の象牙・象牙製品の取引(売る、買う、あげる、もらう、貸す、借りる)についても、店舗等における取引の場合と同じく、問4への回答で説明したルールが適用されます。
・その際、1全形を保持している象牙については、オークションでの出品を含めインターネット上で取引しようとする場合、その象牙が登録されていること及び登録記号番号を明確に表示することが必要です。2象牙製品やカットピース(象牙を裁断したもの)については、それらを取引する業務を伴う事業を行う場合には、あらかじめ取扱い事業者としての届出が必要となり、取引の記録とその保存が義務づけられます。
・なお、問 2 への回答のとおり、象牙・象牙製品の輸出は原則禁止されており、インターネット上で海外との間で取引を行う場合に、輸出許可を得ずに象牙・象牙製品を海外に発送することは違法です。許可なく海外発送を行うことがないよう注意が必要です。(同様に、海外から発送された象牙・象牙製品を直接受領することも輸入にあたりますので、輸入許可を得ない限り、違法輸入となります。)
・インターネットでの象牙・象牙製品の取引では、「買う側」もしっかりルールを確認した上で購入することが大切です。
環境省より引用
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象牙の輸入が禁止されているのに、国内の象牙の登録本数が増えているのはおかしいのではないでしょうか?
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日本には、過去に合法的に輸入された象牙が多数あるため、それらを取引するに当たって登録が行われること自体はおかしなことではありません。近年における象牙の取引ルールの普及や高齢者による財産の処分が、登録増加の主な理由と推察されます。
・日本にこれまでに輸入された全形を保持している象牙の量は,日本がワシントン条約の締約国となって(1980 年 11 月 4 日発効)以降、象牙の国際取引禁止までの間(1981~1989 年)だけでも,約 2,006 トンが記録されています(※)。さらに、日本がワシントン条約の締約国となる前にも大量の象牙が合法的に輸入されています。これに対し,登録制度が始まってから現在まで(1995~2015 年)に登録されている全形保持象牙は,累積約 305 トン(うち、過去に 2 回の特別に認められた国際的な商取引で輸入された分は約 89 トン。これらは全て国内取引制度に基づき速やかに登録された。)にとどまり,輸入総量に比して小さな割合となっています。したがって、過去に合法的に輸入された象牙の中には未だに登録されていない象牙も相当量あると推定されることから、輸入が禁止されている現在でも、象牙の登録が継続的に行われること自体は、おかしなことではありません。
・また、象牙を所有しているだけであれば、種の保存法に基づく手続(問4への回答参照)を行わなくても違法にはならないため、個人が所有している象牙については、まだその多くについて登録が行われていないものと考えられます。近年、象牙の取引ルールが、事業者も含め多くの方々に知られるようになってきたことが、所有者に登録を促す一因となっていると考えられます。また、所有者の死亡や高齢化に伴い、相続や生前贈与、財産処分などのため象牙を譲り渡す必要が生じ、登録を行う事例が増えてきているものと推察されます。
※ワシントン条約事務局が提供する CITES Trade Database (http://trade.cites.org/)から抽出したデータより算出。
環境省より引用
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日本は過去にどのくらい象牙を輸入しているのですか?
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日本では、過去に、1 ワシントン条約によりアフリカゾウの国際商取引が禁止される以前(1990 年以前)と、2その後に特別に認められた 2 回の国際的な商取引の際(1999 年と 2009年)に、象牙を輸入しています。
・日本では、1 ワシントン条約により国際取引が禁止される以前と、2その後に特別に認められた 2 回の国際的な商取引の際に、象牙を輸入しています。
・その総量は、日本がワシントン条約の締約国となる以前の累計値は存在しないものの、問6への回答で述べたとおり、1日本がワシントン条約の締約国となった翌年から象牙の国際商取引禁止までの間に約 2,006トン、2その後、1999 年と 2009 年の 2 回、ワシントン条約の締約国会議で定められた手続に従って特別に認められた国際商取引の際に約 89 トン、です。
・なお、条約適用前に取得されたものとして輸出国が証明書を発行し輸出を認めたものについては、1990 年以降も輸入が認められています。
環境省より引用
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象牙の輸入が禁止されているのに、インターネットでの販売量が増えているのはおかしいのではないでしょうか?
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日本国内には過去に合法に輸入された象牙が大量に存在することから、インターネット上での象牙の販売が行われていること自体はおかしなことではありません。
・問6及び問7の回答のとおり、日本国内には過去に合法に輸入された象牙が大量に存在するので、輸入が禁止されている現在でも、インターネット上での象牙の販売が行われていること自体はおかしなことではありません。
・インターネットによる物品売買の市場規模が拡大する中、インターネット上での販売が増えているのは、象牙・象牙製品に限ったことではないと考えられます。
・インターネットで販売されている象牙・象牙製品に違法なものが含まれることのないよう、警察やインターネットモール事業者が監視を行っています。
環境省より引用
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日本での象牙の国内取引はアフリカにおけるゾウの密猟を招いているのではないでしょうか?
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近年、アフリカゾウの象牙の大規模な密輸事例は確認されていません。日本国内で取引が認められている象牙は、過去に合法的に輸入された象牙のみであり、日本国内の象牙取引が海外での密猟や密輸を助長しているとの事実はないと考えます。
・日本で販売が認められている象牙・象牙製品は、ワシントン条約で輸入が禁止される前から日本国内に存在していた象牙、又は過去 2 回の特別に認められた国際的な商取引で輸入された象牙に由来するもののみです。
・日本では、税関が輸出入を厳格に取り締まっており、近年、大規模な象牙の密輸事例は確認されていません。日本向けの象牙密輸出が外国で摘発された事例もありません。ワシントン条約事務局等による報告(※)においても、日本は違法な象牙の目的地や中継地とは認識されていません。
・このため、日本国内で合法的な象牙・象牙製品の取引が認められていることが、海外でのゾウの密猟や象牙の密輸を助長しているとの事実はないと考えます。
※https://cites.org/sites/default/files/eng/cop/16/doc/E-CoP16-53-02-02.pdf(英語)
http://www.trafficj.org/publication/15_Elephants_in_the_Dust_J.pdf(日本語:PP46-49)
https://www.cites.org/sites/default/files/common/resources/pub/Elephants_in_the_dust.pdf(英語)環境省より引用
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アフリカで密猟が多く起きているのはなぜですか?
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国際組織犯罪グループ等がアフリカゾウの密猟と象牙の違法取引に関与しているとの指摘もあり、アフリカ諸国の統治の弱さや貧困等とも相まって密猟が行われる原因になっていると考えられます。
・ワシントン条約の常設委員会に提出された報告等(※1)によれば、アフリカにおける密猟の多さは、多くのゾウの生息国で統治の弱さや貧困があることに加え、違法象牙に対するアジア新興国の需要があることが3つの主因であると指摘しています。
・国連薬物犯罪事務所(UNODC)の報告(※2)によれば、ソマリアの武装勢力等がアフリカゾウの密猟に関与していることが指摘されています。また、国連環境計画(UNEP)が関係機関・団体と共同でまとめた報告(※3)によれば、高度に組織化された国際犯罪グループが密猟された象牙の大規模な違法取引に関与している疑いがあるとされています。
・これらが相まって、アフリカゾウの密猟が行われる原因となっていると考えられます。
※1:https://cites.org/sites/default/files/eng/com/sc/65/E-SC65-42-01.pdf (英語)
https://cites.org/sites/default/files/eng/cop/16/doc/E-CoP16-53-01.pdf (英語)
http://www.unep.org/newscentre/Default.aspx?DocumentID=2791&ArticleID=10895&l=en(英語)
http://www.unep.org/NewsCentre/default.aspx?DocumentID=2755&ArticleID=9686(英語)※2:http://www.unodc.org/documents/data-and-analysis/Studies/TOC_East_Africa_2013.pdf(英語)
※3:http://www.unep.org/NewsCentre/default.aspx?DocumentID=2755&ArticleID=9686(英語)
http://www.unep.org/newscentre/default.aspx?DocumentID=2711&ArticleID=9436&l=en( 英語)環境省より引用
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日本での象牙の国内管理制度の不備により、密輸された象牙が、合法に輸入された象牙に偽装されて輸出されているのではないでしょうか?
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日本では象牙の輸入や国内取引の管理を厳しく行っており、指摘のような事実はないと考えます。
・問9への回答のとおり、そもそも、日本では税関が輸入を厳格に取り締まっており、近年、象牙の大規模な密輸事例は確認されていません。
・また、アフリカゾウがワシントン条約の適用を受ける前(1975 年以前)に取得された象牙及び象牙製品であっても、それを日本から輸出するためには、輸出許可を得ることが必要です。この輸出許可は、合法に取得されたものであることを前提とした上で、その取得時期について厳格に審査された上で発給されています。実際にこの許可を取得して日本から再輸出されたアフリカゾウの象牙は、1990 年から 2014 年までの期間において、わずか 17 本にとどまっています。
・なお、輸出の許可は国内管理制度と直接的な関係はなく、上記の審査が行われています。
・このように、これまでに許可を受けて輸出された象牙が極めて少ないこと等から、近年になって日本に違法に輸入された象牙が、国内において合法的に輸入されたものに偽装されて輸出されているという事実はないと考えます。
環境省より引用
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海外では象牙の国内取引を全面禁止する動きがあると聞きます。なぜ日本は複雑な国内管理制度を作ってまで象牙の取引を続けようとするのですか?
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日本政府は、合法な商業取引を含む全ての象牙の国内取引を禁止することがゾウの保全に役立つとは考えていません。象牙の合法的な取引により得られる経済的な利益は、生息国におけるゾウの保全にも役立つものであり、違法取引の防止及び合法的な取引の管理の徹底こそが重要と考えているからです。
・ワシントン条約の締約国会議で採択された決議文(※)の一つには、「種の存続を脅かさない水準での野生動植物の商取引は、(それにより得られた経済的利益を活用することで、)その種や生態系の保全及び地元住民の発展に役立つ場合がある」という趣旨が述べられています。
・アフリカゾウが安定して生息しており、その個体群が附属書IIに掲載されている南部アフリカ諸国は、自然死個体や駆除個体に由来する象牙の合法的な国際取引により、ゾウの保全や地域社会の発展のための資金を獲得することを期待しています。日本は、こうした国々の意向も踏まえて、象牙の違法な取引の防止及び合法的な取引の管理の徹底に努めています。
・各国が合法的な国内取引を完全に止めてしまうことは、ゾウの保全に成功している南部アフリカ諸国が将来にわたって象牙の取引相手を失うことを意味します。絶滅のおそれが少ないのに象牙の合法的取引が一切できないことになれば、その収益が失われる結果、自然保護関連の資金が減り、たとえば密猟防止のための監視活動に支障が生じることが考えられます。また、ゾウの被害を受けている住民は、ゾウが生息していることから何も利益を受けられなければ、ゾウの保全に対して非協力的になりかねないとの懸念も聞かれます。
・アフリカゾウとの共存を模索するこうした国々の事情も勘案しながら、国際社会としてゾウの保全のために何ができるかを考えていかなければなりません。こうした観点から、日本としては安易に象牙の国内取引を全面禁止することが適当な選択肢であるとは考えておらず、違法取引の防止及び合法的な取引の管理の徹底に努めているところです。
・なお、問9への回答のとおり、日本では近年象牙の大規模な密輸事例は確認されておらず、日本国内の象牙取引が海外での密猟や密輸を助長している事実はないと考えます。
・万が一、法の網をかいくぐって違法な象牙が国内に入ってきた場合でも、合法的なものと区別して国内での取引がなされないようにすることを目的として、法に基づく象牙の登録制度や事業者の届出制度を整えて、合法的な象牙取引の管理に努めています(問4参照)。
・これらのことから、日本の国内において象牙・象牙製品の販売を禁止することが、ゾウの保全に役立つとは考えません。
※http://cites.org/eng/res/08/08-03R13.php(英語)環境省より引用
国内での象牙製品の製造販売や売買は違法ではありません。
当社の象牙製品の取り扱いについて
当社は、象牙製品の取り扱いを国より認められた、安心して取引のできる業者です。
国内での象牙製品の製造・販売は許可されています。
江戸時代の隆盛期から現代にいたるまで、象牙は美術工芸品としても、趣味の小物や日用品としても、日本人にとって大きなポジションを占めてきました。
この卓越した伝統工芸技術は受け継がれていかなくてはなりません。
1989年初めに象牙の輸入が禁止され、その後1999年に約50トン、2009年に約40トンの象牙の輸入が許可されました。
2016年に南アフリカで開かれた第17回ワシントン条約締約公会議で、密猟、密輸に寄与している象牙の合法的国内市場を有している国は国内市場を早急に閉鎖すべしという会議が採択されました。
ただし、日本の国内市場は密猟、密輸には寄与していないというのが日本政府の立場です。
したがって国内での象牙の製造や売買はワシントン条約及び日本の法律で正式に許可されています。
なお、海外でお土産品として象牙製品を買って帰ることは条約違反です。