⇒象牙の輸出入(国際商取引)は、ワシントン条約によって、アジアゾウについては同条約が発効した 1975 年以降、アフリカゾウについては 1990 年以降、原則として禁止されています。ただし、過去に2回だけ同条約により、個体数が多く、かつその減少傾向が認められない南部アフリカの個体群に限って象牙の取引が認められたことがあり、この取引で得られた収益は、アフリカゾウの保全並びにゾウの生息域又はその近隣の地域社会の保護及び発展等のために使われています。また、条約発効前(1975 年以前)に取得された象牙は、輸出国の承認を受けることで輸出入が可能となります。
・ワシントン条約では、国際間の商業目的の過度の取引による種の絶滅を防ぐために取引の制限が必要と考えられる野生動植物の種について、規制対象となる動植物を附属書にリストアップし、さらに絶滅のおそれの程度に応じて附属書の内容を三区分(附属書I~III)に分類し、それぞれの必要性に応じて、国際取引の規制を行うこととしています(※1)。
・附属書Iには、絶滅のおそれがあり、国際取引により影響を受けている又は受けることがあるとして、国際的な商取引が原則禁止されている種が掲載されています。(※2)
・附属書IIには、現在必ずしも絶滅のおそれはないものの、取引を厳重に規制しなければ絶滅のおそれのある種になりうる種が掲載されており、これらの種は、一定の条件を満たし輸出国の許可を受ければ商業取引が可能です。(※2)
・附属書IIIには、原産国である締約国が規制の必要を認め、取引の取締りのため、他の締約国の協力を求める特定の種が掲載されています。(※2)
・アジアゾウは、ワシントン条約が発効した 1975 年から附属書 I に掲載されており、現在に至るまで、その象牙の国際的な商取引は原則禁止されています。
・アフリカゾウは、ワシントン条約発効から数年経過した 1977 年に附属書IIに掲載され、締約国の輸出許可証が発給された場合のみその象牙(全形牙、加工品、端材などすべて)の国際的な商取引が可能でした。しかし、1980 年代に主に東部アフリカで象牙を狙った密猟が激化したことから、1989 年にアフリカゾウが附属書Iに掲載されることとなり、翌 1990 年からその象牙の国際的な商取引(輸出入)は原則禁止されました。
・その後、1997 年に、南部アフリカ3か国(ボツワナ、ナミビア、ジンバブエ)のアフリカゾウ個体群は、絶滅のおそれが少ないとして附属書IIに戻されました。同様に 2000 年には南アフリカ共和国の個体群も附属書IIに戻されました。その際、それら個体群の象牙の国際的な商取引が他の国のゾウに及ぼす影響が懸念されたことから、附属書の注釈により、取引を実施する際の条件が輸出国と輸入国の双方に付されました。
・こうした条件が満たされたとして、ワシントン条約の締約国会議で定められた手続に従い、1999年と 2009 年の2回、上記の南部アフリカ諸国から、1回目は日本、2回目は日本と中国に象牙が輸出されました(このうち、南アフリカ共和国からは2回目のみ)。1990 年以降、この 2 回以外に象牙の国際的な商取引が認められたことはありません。
この 2 回の象牙の国際的な商取引は、南部アフリカ諸国の強い意向を受けて行われたもので、これにより得られた収益はアフリカゾウの保全並びにゾウの生息域又はその近隣の地域社会の保護及び発展等のために使われています。
・また、ワシントン条約の適用を受ける前(※3)に取得された象牙及び象牙製品は、取得時期を証明し、輸出国から条約適用前取得である旨の証明書を受領することにより、輸出入が可能となります。(なお、ワシントン条約の規定に従い、日本から再輸出されたアフリカゾウの象牙は、1990 年から 2014 年までで 17 本のみです)。
※1:ワシントン条約については以下のリンク先をご確認下さい。
環境省 HP http://www.env.go.jp/nature/kisho/global/washington.html
経産省 HP http://www.meti.go.jp/policy/external_economy/trade_control/02_exandim/06_washington/cites_about.html
※2:附属書の各区分の正確な掲載対象は、リンク先の条約本文(仮訳第2条)をご確認下さい。
経産省 HP http://www.meti.go.jp/policy/external_economy/trade_control/boekikanri/download/cites/2010/20100831_215_ci.pdf
※3:アジアゾウについては条約が発効した 1975 年 7 月 1 日より前、アフリカゾウについては条約の附属書にアフリカゾウの個体群が初めて掲載された 1976 年 2 月 26 日より前(ガーナの個体群が附属書 III に掲載されたとき)。
環境省より引用